14人のアイルランドに屈辱の敗北
- 2016/06/17
- 18:30
南アA代表の予想外といっていい敗戦の翌日、Allister Coetzee監督が率いる新生スプリングボクスが、ケープタウンでアイルランドを迎え撃ちました。
南アはSuper Rugbyでプレーする選手を中心とした編成ですが、それでもトゥーロンからDuane Vermeulen、バースからFrancois Louw選手が戻って、先発15人中13人はワールドカップメンバー。現状ではベストに近い編成です。
しかしふたを開けるとアイルランドの攻勢の前にたじたじ。Jared Payne選手のこのトライで先制され、
すぐにまたゴール寸前まで攻め込まれる始末。Jonathan Sexton選手の代役、Paddy Jackson選手のキックも好調で、あっという間に3-10のビハインド。
そこで起きたのがこの事件。
南ア出身のCJ Stander選手のフライングヒップアタックを受けたPat Lambie選手は脳震盪で退場、スタンデル選手はレッドカードで退場。司令塔の退場は痛いでしょうが、すぐに4年ぶりの代表復帰となるElton Jantjiesが出場。一方のアイルランドは、当たり前ですが14人のまま。試合時間は60分間も残っていて、試合の興味はアイルランドの7点の貯金が、いつ底をつくかに移ったかに思われました。
さらにその8分後にはRobbie Henshaw選手が、今度はパスした直後のヤンチーズ選手にレイトチャージを見舞ってイエローカード。その後10分間は15人対13人の戦いですが、それでも南アは攻め切れず、やっとLwazi Mvovo選手のトライで逆転したのは30分過ぎ。しかし、好調ジャクソン選手のドロップゴールですぐに追いつかれるありさまです。
結局前半は13-13の同点で折り返し、後半に入ってトライを獲ったのは14人のアイルランドの方。
Connor Murray選手のトライで20-13と突き放すと、そのまま26-20と逃げ切ってしまいました。
南アも後半早めに交代選手を送り込みましたがPieter Steph du Toit選手がパスカットから走り切るというアクシデンタルなトライがあっただけ。60分間を14人、そのうち10分間を13人で戦ったアイルランドから奪えたトライは二つだけでした。
相手の7人スクラム(実際にはブラインドサイドのWTBがスクラムに入っていましたが)に対して押せないどころか押し込まれる場面もありましたし、南アフォワード自慢の縦突進は簡単に押し戻される始末。ブレークダウンで激しくファイトするアイルランドに、未経験なSHはボールをさばけません。
加えてキャプテンシーの不在。新キャプテンのAdriaan Strauss選手は、ブライトンでは日本からトライを奪い、もうダメか?と思わされた選手ですが、
統率力については未知数ですし、選手としてもBismarck du Plessisが戻れば控えの立場。自身のプレーで南ア代表を引っ張れるほど傑出した選手でもありません。
ということで、クッツェー監督としても、どこから手を付けて良いか途方に暮れるような戦いの末の敗戦だったわけですが、とりわけFourie du Preez選手がいたSHのところに大きな穴が開いていますね。起用されたFaf de Krerk選手は、小さな体で相手PRにビッグタックルを見舞い、ディフェンス面では貢献していましたが、ゲームメーカーとしては当たり前ですがこれからです。
クッツェー監督は就任に際してこう語っていました。
2019年までに代表選手の半分を非白人選手にするという、南ア政府と協会との合意について質問されると「それは私の関知する問題ではない」というわけで、暗に「人種に関係なく強い南ア代表を作るだけ」という模範解答を口にしたわけですが、現実には彼がワールドカップスコッド外から招集した12選手は、白人選手と非白人選手が6人ずつ。人種割り当て、Racial Quotaに関する合意が、今回のセレクションに暗い影を落としていたことは間違いありません。
敗戦インタビューを受けるストラウス主将ですが、彼自身のプレーもこの試合では最悪。
彼をキャプテンに任命したクッツェー監督の方にも、やはり不調だったLionel Mapoe選手を70分まで引っ張って、Jesse Kriel選手を出し惜しみしたような、明らかな采配面のミスもあり、戦術面で新味を出せなかったことも含めて、この試合をアイルランドのJoe Schmidt監督による、新監督へのレッスンと自虐的に評するメディアもあります。
あらゆる面で最悪のスタートになった新生スプリングボクスでしたが、悪い材料が出尽くしてここがどん底。あとはその悪い個所を改善していくだけと考えれば、新監督の船出として悪いことではなかったという考え方もありですが、どん底の底が抜けてしまう事態をも予感させる試合が、その直後に待ち受けていました。
南アはSuper Rugbyでプレーする選手を中心とした編成ですが、それでもトゥーロンからDuane Vermeulen、バースからFrancois Louw選手が戻って、先発15人中13人はワールドカップメンバー。現状ではベストに近い編成です。
しかしふたを開けるとアイルランドの攻勢の前にたじたじ。Jared Payne選手のこのトライで先制され、
すぐにまたゴール寸前まで攻め込まれる始末。Jonathan Sexton選手の代役、Paddy Jackson選手のキックも好調で、あっという間に3-10のビハインド。
そこで起きたのがこの事件。
南ア出身のCJ Stander選手のフライングヒップアタックを受けたPat Lambie選手は脳震盪で退場、スタンデル選手はレッドカードで退場。司令塔の退場は痛いでしょうが、すぐに4年ぶりの代表復帰となるElton Jantjiesが出場。一方のアイルランドは、当たり前ですが14人のまま。試合時間は60分間も残っていて、試合の興味はアイルランドの7点の貯金が、いつ底をつくかに移ったかに思われました。
さらにその8分後にはRobbie Henshaw選手が、今度はパスした直後のヤンチーズ選手にレイトチャージを見舞ってイエローカード。その後10分間は15人対13人の戦いですが、それでも南アは攻め切れず、やっとLwazi Mvovo選手のトライで逆転したのは30分過ぎ。しかし、好調ジャクソン選手のドロップゴールですぐに追いつかれるありさまです。
結局前半は13-13の同点で折り返し、後半に入ってトライを獲ったのは14人のアイルランドの方。
Connor Murray選手のトライで20-13と突き放すと、そのまま26-20と逃げ切ってしまいました。
南アも後半早めに交代選手を送り込みましたがPieter Steph du Toit選手がパスカットから走り切るというアクシデンタルなトライがあっただけ。60分間を14人、そのうち10分間を13人で戦ったアイルランドから奪えたトライは二つだけでした。
相手の7人スクラム(実際にはブラインドサイドのWTBがスクラムに入っていましたが)に対して押せないどころか押し込まれる場面もありましたし、南アフォワード自慢の縦突進は簡単に押し戻される始末。ブレークダウンで激しくファイトするアイルランドに、未経験なSHはボールをさばけません。
加えてキャプテンシーの不在。新キャプテンのAdriaan Strauss選手は、ブライトンでは日本からトライを奪い、もうダメか?と思わされた選手ですが、
統率力については未知数ですし、選手としてもBismarck du Plessisが戻れば控えの立場。自身のプレーで南ア代表を引っ張れるほど傑出した選手でもありません。
ということで、クッツェー監督としても、どこから手を付けて良いか途方に暮れるような戦いの末の敗戦だったわけですが、とりわけFourie du Preez選手がいたSHのところに大きな穴が開いていますね。起用されたFaf de Krerk選手は、小さな体で相手PRにビッグタックルを見舞い、ディフェンス面では貢献していましたが、ゲームメーカーとしては当たり前ですがこれからです。
クッツェー監督は就任に際してこう語っていました。
2019年までに代表選手の半分を非白人選手にするという、南ア政府と協会との合意について質問されると「それは私の関知する問題ではない」というわけで、暗に「人種に関係なく強い南ア代表を作るだけ」という模範解答を口にしたわけですが、現実には彼がワールドカップスコッド外から招集した12選手は、白人選手と非白人選手が6人ずつ。人種割り当て、Racial Quotaに関する合意が、今回のセレクションに暗い影を落としていたことは間違いありません。
敗戦インタビューを受けるストラウス主将ですが、彼自身のプレーもこの試合では最悪。
彼をキャプテンに任命したクッツェー監督の方にも、やはり不調だったLionel Mapoe選手を70分まで引っ張って、Jesse Kriel選手を出し惜しみしたような、明らかな采配面のミスもあり、戦術面で新味を出せなかったことも含めて、この試合をアイルランドのJoe Schmidt監督による、新監督へのレッスンと自虐的に評するメディアもあります。
あらゆる面で最悪のスタートになった新生スプリングボクスでしたが、悪い材料が出尽くしてここがどん底。あとはその悪い個所を改善していくだけと考えれば、新監督の船出として悪いことではなかったという考え方もありですが、どん底の底が抜けてしまう事態をも予感させる試合が、その直後に待ち受けていました。
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